特定技能「自動車運送業」外国人ドライバー採用ガイド(トラック・タクシー・バス)
この記事では、特定技能「自動車運送業」について、外国人材がトラック・タクシー・バスのドライバーとして就労できる枠組みを解説いたします。
2026年物流ドライバーの担い手不足が続く中で、日本人だけでは現場が回らない問題が起こっています。
「制度要件(試験・免許・日本語)」と「受入れ体制(安全・教育・労務・定着支援)」をセットで整えることで将来の人材を確保しましょう。
自動車運送業分野は、他分野よりも要件の組み合わせが複雑な分野です。区分(トラック/タクシー/バス)によって、求められる免許(第一種/第二種)・日本語水準・教育の重点が変わり、ここを誤ると「採用できたのに申請が進まない」「免許取得で想定以上に遅れる」といった失敗が起こりやすくなります。逆に、最初に設計を固めれば、採用は“型”になり、継続的に回せるようになります。
このページでは、制度の全体像から、受入れ要件、評価試験、免許(外免切替・二種)、採用フロー、費用感、現場定着までを「ロードマップ」として整理し、詳細は個別記事へつなげます。
参考:
国土交通省|自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて /
出入国在留管理庁|自動車運送業分野
特定技能「自動車運送業」とは(全体像)
対象は3区分(トラック/タクシー/バス)
自動車運送業分野の対象は、トラック運送業・タクシー運送業・バス運送業の3区分です。主な業務は「運行」と、それに付随する業務として整理されています。
参考:
国土交通省|特定技能制度における自動車運送業分野の制度概要(PDF)
- トラック:運行+荷役(積み下ろし、積付け、荷崩れ防止、伝票・確認など)
- タクシー:運行+接遇(案内、料金説明、忘れ物対応、苦情・緊急時対応など)
- バス:運行+接遇(案内、乗降時の安全確保、緊急時対応など)
受入れ見込数(目安)
制度概要資料では、受入れ見込数の目安として2.45万人が示されています。これは企業ごとの受入れ保証人数ではなく、中期的な制度運用の枠として示される「目安」として理解すると現実的です。
まず押さえるべきポイント(試験×免許×日本語)
この分野は「要件のズレ」が最も痛手になりやすい分野です。基本は、(1)分野別の特定技能1号評価試験の合格+(2)日本の運転免許+(3)日本語要件を満たした上で、在留手続へ進みます。
参考:
法務省・国交省|運用要領別冊(自動車運送業分野の基準)(PDF) /
失敗を防ぐための最初の設計(チェック項目)
- 区分:トラック/タクシー/バス(どの評価試験を受けるかが決まる)
- 免許:第一種 or 第二種/車格(普通・準中・中型・大型など)
- 日本語:N4/N3の証明+現場で必要な“運行日本語”をどう補うか
- 採用ルート:国内在留か海外か/すでに試験・免許が揃っているか
- 教育:座学→構内→路上→OJT→単独乗務判定(誰が、いつ、何を評価するか)
受け入れ要件(企業側)
受入れ事業者としての基本(雇用・労務・安全)
ドライバー職は、事故リスク・対人対応・時間管理が密接に絡みます。特定技能での採用では、雇用契約や労務管理だけでなく、教育・点呼・記録・運行管理など「安全に回る仕組み」を先に作っておくほど、定着率と採用効率が上がります。
“安全に回る仕組み”の最小セット(まず整えるべきもの)
- 教育の型:研修メニュー、受講記録、理解度チェック(小テスト・OJT評価)
- 点呼・記録:点呼の運用、運行前後点検のチェック表、報告ルール
- 事故・トラブル対応:初動フロー(停止→安全確保→通報→会社連絡)、連絡網、再発防止の型
- 労務:シフト、休憩、残業、賃金・手当、相談窓口(言語支援含む)
協議会への加入(実務上の必須ステップ)
国交省の案内では、自動車運送業分野特定技能協議会の加入受付が開始されており、受入事業者(特定技能所属機関)や登録支援機関は所定のフォームで届出を行う運用になっています。加入後の変更届出も同ページに案内があります。
参考:
国土交通省|自動車運送業分野特定技能協議会(加入・届出案内) /
運用要領別冊(協議会構成員等の扱い)(PDF)
「働きやすい職場」等の認証(要件として登場)
制度概要資料では、受入れ事業者の要件の例として「働きやすい職場認証制度」や、トラックでは「Gマーク制度」等の認証取得が挙げられています。実際の運用要件は更新される可能性があるため、協議会案内や公式資料で最新条件を確認しながら整備してください。
参考:
国土交通省|働きやすい職場認証制度(運転者職場環境良好度認証制度) /
働きやすい職場認証制度|公式サイト /
全日本トラック協会|Gマーク制度(安全性優良事業所) /
要件(外国人側)
技能要件:区分ごとの「評価試験」+「免許」
運用上は、区分ごとの要件が次のように整理されています。
- トラック:自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)合格+第一種運転免許
- タクシー:自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)合格+第二種運転免許
- バス:自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)合格+第二種運転免許
また試験は日本語で実施され、タクシー・バスは二種学科に準拠する内容について現地語併記がある旨も示されています。
日本語要件:N4/N3の考え方(区分で差がある)
制度概要資料では、トラックはN4相当(JLPT N4または日本語基礎テスト合格)が基本ラインとして示され、タクシー・バスはN3が示されています。また、緊急時対応があるため、より高い日本語水準が求められる設計です。
特にタクシー・バスで必要なのは臨機応変な日本語の対応が求められます。事故・クレーム・離職を減らすには、次の運行日本語を整備するのが効きます。
- 安全:危険予知、標識、車両不具合の説明、点呼の受け答え
- 案内説明:案内、料金説明、忘れ物、苦情の一次対応、緊急時の声かけ
- 業務連絡:遅延、渋滞、事故、体調不良、運行変更の報告
おすすめは、「定型文テンプレ(業界用語)」+「母語併記」の二段構えで、現場の誤解を減らす運用です。
免許取得のための「特定活動」(準備期間の設計)
運転免許の取得には時間がかかるため、制度概要資料では免許取得手続等に要する期間として、在留資格「特定活動」での在留が示されています。
参考:
国交省|制度概要(特定活動:タクシー/バス1年、トラック6か月)(PDF)
よくある失敗は「免許はすぐ取れるはず」という想定です。外免切替や二種免許は、本人の準備状況・学科理解・予約状況で期間がブレます。特定活動期間を“保険”として捉え、免許取得と並行して座学研修(法令・安全・接遇・地理)や構内・路上・OJT計画を組むと、乗務開始を早めやすくなります。
評価試験の全体像(まずここ)
試験実施主体と試験方式(CBT/出張試験)
自動車運送業分野における特定技能1号評価試験は、国交省の発表・ClassNKの案内により、試験実施主体が一般財団法人 日本海事協会(ClassNK)とされています。試験方式は、CBT方式(個人申請)と出張試験方式(法人申請)の2方式が案内されています。
参考:
国土交通省|「自動車運送業分野」特定技能1号評価試験を開始(出張方式/CBT方式) /
ClassNK|自動車運送業分野特定技能1号評価試験(公式) /
ClassNK|特定技能試験ポータル(自動車運送業分野) /
ClassNKポータル|CBT方式 申請注意(個人申請)
使い分けの目安(実務)
- CBT:候補者が個人で受験しやすい(小人数でも回しやすい)
- 出張試験:人数がまとまる場合に検討(事前調整や会場準備など段取りが重要)
最新の申請条件・受付状況・注意点は、ClassNKの試験ポータルで更新されるため、受験前に必ず公式情報を確認してください。
受験・申請でつまずきやすいポイント
-
- 受験者本人の申請が必要なケース(CBTは個人申請として案内)
- 本人確認(提出書類の確認に時間がかかる場合がある)
- 区分の取り違え(トラック/タクシー/バスで要件が異なる)
免許・運転に関する論点(重要)
トラック:第一種運転免許(外免切替を含む)
参考:
警察庁|外国の運転免許をお持ちの方(外免切替の基本) /
警視庁|外国免許から日本免許への切替(予約・必要書類などの実務)
トラックは第一種運転免許が要件で、いわゆる外免切替(外国免許からの切替)も含む形で整理されています。実務では、現状の免許種別(普通/準中/中型/大型)と、実際の配属業務(車格・積載・運行形態)を先に決め、必要免許から逆算してください。
現場でよく起きるズレは「採用後に配属車両が想定より大きい」「路線・配送形態が変わり必要免許が変わる」です。採用前に、配属予定の車両・業務を具体化し、免許要件を固定しましょう。
タクシー・バス:第二種運転免許
参考:
警察庁|第二種免許等の受験資格の見直し(年齢・経験年数の特例) /
警視庁|二種免許試験の案内(学科・技能等の流れ)
タクシー・バスは第二種運転免許が要件です。二種は「運送して対価を受ける」業務に関わるため、学科・実技の難易度だけでなく、言語理解・接遇・緊急時対応まで含めた育成設計が重要になります。
現場で事故を増やさないための「最初の設計」
免許が取れた=すぐ戦力、にはなりません。道路状況・地理・接遇・クレーム対応・緊急時の通報など、現場で必要な日本語が一段上がります。採用の時点で「教育の順番(座学→構内→路上→OJT)」と「評価の仕組み(チェックリスト)」を作っておくと、事故と早期離職の両方を減らせます。
制度概要資料にも、法令・接遇・地理・安全の研修、構内走行、路上走行、路上走行研修、新任運転者研修など、乗務開始までのプロセス例が示されています。
採用フロー(最短ルートの全体図)
全体の流れ(企業がやること)
- 採用方針決定:区分・車格・勤務形態・賃金設計・教育体制(誰が教え、誰が判定するか)
- 候補者募集/選考:免許・経験・日本語・健康・適性(夜勤耐性・時間感覚・接遇)
- 評価試験/日本語要件の確認:合格証明・申請計画(CBT/出張)
- 免許取得:外免切替・二種取得、必要に応じ特定活動期間を活用
- 協議会加入・届出:受入れ側の事務(早めに着手)
- 在留手続:申請→入社・配属
- 教育・OJT:単独乗務判定→定着支援(相談窓口・生活支援・トラブル予防)
つまずきポイント3つ(ここを先に潰す)
- 区分と要件の取り違え:N4/N3、第一種/第二種、評価試験の区分が一致しているか
- 免許取得の読み違い:外免切替の可否、二種の取得期間、研修期間を甘く見ない
- 受入れ体制の不足:教育・通訳・相談窓口・住居・生活支援が後手になると離職が増える
参考:
国土交通省|自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて(分野ページ/協議会等の入口) /
出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」(申請区分:在留資格認定証明書/変更などの入口) /
出入国在留管理庁|申請手続(特定技能の在留諸申請の案内) /
国土交通省|制度概要(PDF:採用→免許→研修→乗務開始の流れ例・スケジュール)
費用感とスケジュール(モデル)
費用は「採用」「手続」「教育」「支援」で分けて考える
この分野は、採用コストだけでなく、免許取得・教育・通訳・生活支援が効いてきます。記事設計としては、費用ページを別に立て、ここでは「費用が発生する項目のロードマップ」を提示するのがおすすめです。
- 採用:募集・紹介・渡航関連(ルートによる)
- 手続:申請書類作成、外部専門家(利用する場合)
- 教育:法令、安全、接遇、地理、日本語、OJT(評価の仕組み含む)
- 支援:登録支援機関委託費(委託する場合)、通訳、住居、生活立ち上げ
費用は「月額」だけ見てしまうと判断を誤りがちです。初期(立ち上げ)にどれだけ教育・仕組み化へ投資できるかが、事故・クレーム・離職による“見えないコスト”を減らします。
スケジュールは「免許」と「試験」で決まる
免許取得に要する期間の目安(特定活動:バス・タクシー1年、トラック6か月)が示されているため、現実的には「最短でも数か月〜」の設計になります。採用計画は、①候補者の現在地(国内/海外)、②既に試験合格済みか、③免許がどこまで整っているか、で大きく変わります。
現場定着(事故防止・接遇・教育)
安全教育:最初の30日で差がつく
最初の1か月で「点呼・記録・危険予知・ヒヤリハット共有・速度/車間・荷崩れ防止(トラック)・乗客対応」の型を作ると、事故率とクレームが下がります。運行前後点検、安全運行、乗務記録等を確認する試験設計になっている点も踏まえ、教育内容を試験と一致させると無駄がありません。
30日設計(例)
- 1週目:点呼・報告・標識・車両点検・禁止事項(スマホ等)
- 2週目:構内→短距離路上、危険予知、報告訓練(遅延・渋滞・体調不良)
- 3週目:業務ルート想定、同乗OJT、荷扱い(トラック)/接遇ロープレ
- 4週目:単独乗務判定(チェックリスト)、弱点補強、緊急時訓練
タクシー・バスは「接遇」と「緊急時」が要
N3が示されている背景には、日常より少し難しい日本語を理解し、現場で支障なく対応する必要がある点があります。現場用の定型文(説明テンプレ)と、緊急時フロー(事故・体調不良・迷子・災害)を、まず日本語で整備し、必要に応じて母語併記で運用してください。
多言語マニュアルの最小セット(まず作るべき10枚)
- 点呼の流れ(健康確認・アルコール・車両確認)
- 運行前後点検チェック
- 事故時の初動(停止→安全確保→通報→会社連絡)
- トラック:荷崩れ防止の積付け基礎
- タクシー:基本接遇(挨拶・確認・精算)
- バス:乗降時の注意喚起
- 禁止事項(スマホ、速度、あおり等)
- 道路標識・よく使う交通用語
- 社内連絡の定型(遅延・渋滞・トラブル)
- 勤怠・休憩・残業のルール
よくある質問(FAQ)
Q. 何から始めるのが最短ですか?
A. 「区分(トラック/タクシー/バス)」「必要免許(第一種/第二種)」「日本語(N4/N3)」「評価試験」の4点を先に確定し、候補者の現在地(国内/海外)に合わせて逆算するのが最短です。次に、教育の順番(座学→構内→路上→OJT)と単独乗務判定の基準を決めると、採用後の事故・離職が減ります。
Q. 試験はどこで確認すればいいですか?
A. 国交省の発表では試験実施主体はClassNKで、試験は出張方式(法人申請)とCBT方式(個人申請)が案内されています。最新の申請方法・受付状況はClassNKの試験ポータルで確認してください。
Q. 協議会はいつ加入すればいい?
A. 受入れの実務に入る前(少なくとも申請フェーズに入る前)に、国交省ページの案内に沿って加入・届出を行うのが安全です。スケジュール逆算の早い段階で着手することをおすすめします。
無料相談・お問い合わせ(CTA)
「自社はトラック/タクシー/バスのどれが最適?」「免許取得と試験の順番は?」「受入れ体制が足りているか不安」など、状況を整理するだけで採用スピードが上がることが多いです。