特定技能「自動車運送業」は、外国人材がトラック・タクシー・バスのドライバーとして就労できる制度(在留資格「特定技能」)です。国土交通省は、担い手不足が喫緊の課題となっている自動車運送業(バス・タクシー・トラック運転手)について、特定技能制度の対象分野に追加しました。

参考:
国土交通省|自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて
国土交通省|特定技能制度(自動車運送業分野)自動車運送業分野の概要(PDF)
出入国在留管理庁|自動車運送業分野

ただし、この分野は「ドライバーなら同じ」と考えると失敗しやすいのが特徴です。トラック/タクシー/バスで要件(免許・日本語・試験)や現場課題が異なるため、まずは全体像を“図解”で掴み、自社がどの区分に当てはまるかを確定させることが最短ルートになります。

この記事でわかること

  • 特定技能「自動車運送業」の全体像(なぜ始まった?)
  • 3区分(トラック/タクシー/バス)の違い
  • 要件の基本セット(評価試験×免許×日本語)
  • 採用設計でつまずきやすいポイント

特定技能「自動車運送業」とは?(制度の位置づけ)

なぜ始まった?(背景:担い手不足への対応)

国土交通省の制度概要資料では、担い手不足への対応が喫緊の課題となっている自動車運送業分野について、特定技能制度の対象分野への追加が示されています。さらに、受入れに向けて特定技能評価試験の準備・実施を関係団体と連携して進める旨も整理されています。

制度のポイントは「区分ごとに要件が違う」

自動車運送業分野は、トラック/タクシー/バスの3区分で設計されています。国交省の資料や試験実施主体(ClassNK)の試験ポータルでも、区分別に評価試験が整理されていることが確認できます。


【図解】3区分(トラック/タクシー/バス)の違い

まずは全体像マップ(要件の考え方)

最初に押さえるべきは、区分ごとの「評価試験」×「免許」×「日本語」です。制度概要資料では、トラックはN4相当、タクシー・バスはN3が示され、免許取得に要する期間として在留資格「特定活動」の目安(バス・タクシー最大1年、トラック最大6か月・更新不可)も整理されています。

特定技能「自動車運送業」= 3区分(トラック / タクシー / バス)

┌───────────────┬─────────────────────────────┬─────────────────────────────┐
│  区分             │  主な特徴(現場の重み)        │  要件の方向性(ざっくり)     │
├───────────────┼─────────────────────────────┼─────────────────────────────┤
│ トラック           │ 荷の安全・積付け・時間管理     │ 試験(トラック)+第一種免許   │
│                   │(荷崩れ・伝票・納品など)       │ 日本語:N4相当(目安)         │
├───────────────┼─────────────────────────────┼─────────────────────────────┤
│ タクシー           │ 人の安全・接遇・説明責任       │ 試験(タクシー)+第二種免許   │
│                   │(案内・精算・苦情・緊急時)     │ 日本語:N3(目安)             │
├───────────────┼─────────────────────────────┼─────────────────────────────┤
│ バス               │ 人の安全・接遇・緊急時対応     │ 試験(バス)+第二種免許       │
│                   │(乗降・安全確保・案内)         │ 日本語:N3(目安)             │
└───────────────┴─────────────────────────────┴─────────────────────────────┘
※正確な要件・最新情報は、国交省/出入国在留管理庁/ClassNKの公式情報で必ず確認してください。

区分別に「業務の色」が違う(トラック=荷、旅客=人)

国交省の制度概要資料では、乗務開始までのプロセス例として、法令・接遇・地理・安全に関する研修や路上走行研修などが示されており、旅客(タクシー・バス)では特に接遇・地理・安全が重要テーマになります。一方、トラックは運行に加えて、荷扱い(積付け、荷崩れ防止等)に起因する事故や品質問題をどう防ぐかが肝になります。


要件の基本セット(評価試験×免許×日本語)

評価試験:実施主体はClassNK、方式はCBT/出張

国土交通省は「自動車運送業分野」特定技能1号評価試験について、試験の実施主体が一般財団法人 日本海事協会(ClassNK)であること、試験形式として出張方式(法人が会場を用意するペーパーテスト)CBT方式(テストセンター)を案内しています。ClassNKも専用ポータルサイトで最新情報を案内する方針を示しています。

なお、ClassNKの案内ではCBT方式の受付開始や、CBT開始に伴う日本国内の出張試験受付終了(原則)といった運用の注意点も示されています。試験は運用が動くため、受験前に必ずポータルで最新状況を確認してください。

免許:トラックは第一種、タクシー・バスは第二種が絡む

制度概要資料では、免許取得(外免切替・二種免許取得など)を前提にしたプロセスが示され、免許取得手続等に要する期間として在留資格「特定活動」の目安も整理されています。採用設計では、免許取得にかかる期間ブレを必ず織り込むことが重要です。

日本語:トラックN4相当、旅客はN3が目安(+現場日本語)

制度概要資料では、トラックは日本語N4相当(JLPT N4または日本語基礎テスト合格)、タクシー・バスはN3が示されています。さらに実務では、証明書の日本語だけでなく、点呼・標識・緊急時対応・接遇などの「運行日本語」をテンプレ化して補うと、事故・クレーム・離職を減らしやすくなります。


受入れ側で必ず押さえるポイント(協議会・体制)

協議会:特定技能所属機関は構成員になること

出入国在留管理庁の自動車運送業分野ページでは、特定技能所属機関は国土交通省が設置する協議会の構成員になること等が示されています。国交省も分野ページで協議会関係資料を案内しています。採用の逆算では、協議会手続きも“先に”段取りしておくのが安全です。

安全・教育・労務を「採用前に型化」すると失敗が減る

この分野は現場リスクが高いため、採用後に体制を作ると事故や離職につながりやすいです。おすすめは、採用前に次を最低限そろえることです。

  • 教育の順番:座学→構内→路上→OJT→単独乗務判定(チェックリスト)
  • 安全の運用:点呼、運行前後点検、ヒヤリハット、事故時初動フロー
  • 相談と定着:相談窓口(言語支援含む)、住居・生活立ち上げの手順

よくある勘違い(ここで詰まる)

①「ドライバーなら同じ」→ 区分で要件が違う

トラック・タクシー・バスは、必要免許や日本語目安が異なります。区分を確定せずに進めると、試験や免許のやり直しが発生します。

②「免許はすぐ取れる」→ 予約・学科理解・手続でブレる

制度概要資料にも免許取得のための「特定活動」目安が示されている通り、免許取得は採用計画に大きく影響します。免許を見込んだ逆算が必須です。

③「試験は一度見ればOK」→ 方式や受付が動く

国交省の案内では出張/CBTの2方式が示され、ClassNKの案内ではCBT受付開始や国内出張試験受付の扱いなど、運用の注意点が示されています。必ず最新の公式情報で確認してください。

まとめ

特定技能「自動車運送業」は、外国人材がトラック/タクシー/バスのドライバーとして就労できる制度ですが、区分ごとに要件(評価試験・免許・日本語)現場で重視すべきポイントが変わります。

  • トラック:荷の安全・積付け・時間管理が重要(第一種免許+試験)
  • タクシー:接遇・説明責任・緊急時対応が重要(第二種免許+試験、N3目安)
  • バス:乗降の安全確保・案内・緊急時対応が重要(第二種免許+試験、N3目安)

採用をスムーズに進めるためには、最初に「区分」と「必要免許」を確定し、試験・日本語・受入れ体制(教育・点呼・労務)を逆算して設計することが最短ルートです。

全体像(採用フロー、試験、免許、協議会、費用感、定着まで)をまとめたページは、以下から確認できます。

特定技能「自動車運送業」外国人ドライバー採用ガイド